異常気象と移動という最終カード

今年の夏も日本各地で、異常気象による災害が起こっている。この日本を含めた世界中で起こっている異常気象は、人類があり得ないスピードで化石燃料を消費し、CO2を短期間で激増させてしまったことが要因のひとつであることは間違いないだろう。そして当然1~2年で収束できるものではなく、今後も長期間、この異常気象とともに生きていかなければならない。

個人個人で災害への備えはあるだろうが、こんな異常気象の世紀に一番の備えとなるのは、「自分が移動できること」で、本当に安心して暮らすなら、それ以外に手立てはないのではないかと感じている。

もちろん家を頑丈に作ったり、地域を災害に強く作ることは大事であろう。日本はその部分は大変優れている国だと思う。しかしその備えすら簡単に破壊されてしまうような、想定外の被害を出してしまうのが、昨今の異常気象の現状だ。

「いくつかの選択肢の中から、その地域を選んで住む」のと、「その地域でしか生きていけないので住む」のでは、意味合いがまったく異なる。精神的な安定を得られるのは前者であるのは言うまでもないだろう。移動できることとは、根無し草になるのではなく、いろんな場所に根を張れる自由と備えを得ることでもある。最近は都心部から農村部に短期間移住したり、自分を含め2拠点生活を始める人が多いが、防災の観点から見てもそういう試みは大変有効だと思う。

どんなに頑張ったって地球には勝てない(コントロールできない)ことは、先の大震災で痛感させられたはずだ。まずはここでしか生きていけないという固定概念は捨てるべき。「先祖代々守ってきた土地」というふるさと信仰のフレーズは、荒ぶる自然を前にしては完全に無力であることは歴史の教えだ。今後も起きるであろう自然災害への備えとして、移動するという最終カードは確保しておいたほうがいい。

以上おしまい。

 

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