そろそろ評価経済社会の話をしよう

2014年の終わりにこんな記事を書いていたのを見つけて感慨深いものがあった。今では当たり前のように認知されているAI(人工知能)の話も、まだ当時(2015年以前)は「人口知能? シンギュラリティ? はぁ?」みたいな感じだったのだ。去年は人工知能とともに仮想通貨が盛り上がってきたので、今年くらいからはそろそろ評価経済社会の話もNHKとかで特集され始めるんじゃなかろうか、と思ったのでちょっと書いてみる。

「これからは個人の時代だ!」とかいうと、意識高い系と揶揄されるようなタームはそろそろ終わり、今年からは本格的に「個」としての自分を「意識高い系」以外の人たちも考え出すようになるように思う。

「これからは個人にも、Amazonの商品の星のように、評価付けされ、それが流通するようになる」という話をすると誰もが気持ち悪がったものだが、去年後半になってVALUタイムバンクといったサイトが実際にそのようなサービスを開始し、今後もその手の評価プラットホームは増えていくことだろう。

シェアリング経済と個人の評価指標は切っても切り離せないものなので、シェアリング経済の盛況と比例するように、自然と個人の評価付けシステムも確立され、受け入れられていくに違いない。

もしも何かをシェアするなら、信用のない人間より、信用のある人間としたいのは当たり前だし、特に人気のある人や好きな人を優先したくなるのは自然なことだろう。そうやって評価のある人間はコストをかけずに良いサービスを受けられる一方、評価の低い人間はサービスを受けるのに高いコストを払うはめになる、もしくはサービスを受けることすらできない、そんなお金ではなく評価による格差社会が近いうちに始まる、というかじわじわ始まっている。

すでに中国の都市部では無人コンビニやシェアサイクル等でそのサービスが導入されており、自分の評価が落ちると生活に大きな支障が出るため、みんな悪事を働かずに、ていねいにサービスを使うとか。いつの間にか中国が評価経済先進国になってて驚いた。今まではTwitterのフォロワー数や、Facebookのいいね!の数を、単なる人気度や自己肯定感の指標のような文脈で語られることが多かったけれど、これからは誰もが自分の収入と同じくらい切実に、自分の評価について気にしだすようになるだろう。

そんな評価戦国時代がやってくる前に、自分の価値について考えておいたほうがいいかもしれない。好きなことをやって、それを周りとうまく共有できている人は、例えお金が儲かっていなくても、将来は明るいかもしれない。逆に朝から晩まで好きでもない仕事で埋め尽くされ、グチ以外に発信するものがないような人は、例え高給取りでも、今後困ったことになるかもしれない。

NHKによれば、2018年は「副業元年」になるかもしれないらしい。「副業」という概念そのものが、僕にはいささか時代と合っていないような気がするのは、「金(貨幣)を稼ぐ」という元来の「労働」に主眼が置かれていることだ。仕事をしているか、無職かの二元論でしかものを考えられていないから、まだ「本職」なるものがあると思い込んでいるのだろう。僕にとって自分の好きなこと及び能力資本を評価経済に最適化させるとアートになった。一応それでお金(貨幣)もいただいているので、「仕事」と呼べるだろうが、評価経済的にいえば貨幣をもらわなくても、もしくは「仕事」という意識がなくとも、その活動によって価値を生み出し、評価を得られるならば、それで生活は潤うようになるかもしれない。

そのように、お金と評価が両輪となって平行に進む世界になれば、本業・副業という区別はおろか、仕事の概念そのものが変化し、仕事が労働ではなくなる人たちも多くなってくるに違いない。「ワーク・ライフバランス」という言葉のように、ビジネスとプライベートがはっきりと分かれていた時代は終わり、ワークがライフになり、ライフがワークになる。もはやオン・オフといった区別は意味をなさなくなるだろう。

組織より個人が大事。収入や職種より、人柄や生き方が大事。聞こえはいいが、組織プレーに最適化するように頑張ってきた人間が、いきなり個人戦を強いられるようなもので、なかなか大変なパラダイムの変化のように思う。今年も去年と同じように、日本の大手企業を代表とした「誰の顔も見えない」組織の信用が瓦解するようなニュースが巷を賑わせ、信用が個人へシフトする流れは続くだろう。いよいよ僕らは沈みゆく組織という共同幻想の船を離れ、一人乗りのボートで大海へと漕ぎだすのだ。マネーと評価を燃料にして。

てことで、スタバでマックを広げてる人を批判してるような人は、自分もスタバでマックを広げて今後のことを考える時間を持ってみてはどうだろう。なかなか有意義な時間になるはずだ。

評価経済社会については、元祖的な存在の岡田斗司夫さんの本や、

評価経済社会・電子版プラス

最近では佐藤航陽さんの「お金2.0」あたりが参考になると思う。

お金2.0 新しい経済のルールと生き方 (NewsPicks Book)

 

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