福岡いい街研究所-01:コンパクトシティ

福岡に来て3年目になった。何の前知識もなく引っ越してきたこの街は、驚くほど暮らしやすい場所だった。

僕は今まで世界のいくつかの街に滞在してきて、その度にその街が合うか合わないかを肌で感じてきた。今までは文字通り肌感覚で理解してきただけだったが、これからもいろんな街に住みたい、というか住む予定なので、そろそろ自分にとっていい街である条件を、いい街である福岡の良さをまとめながら具体的に考えてみたいと思う。

まず最初は街のサイズ感について。


 

■街全体を自転車でまわれるくらいのコンパクトシティ

福岡は住宅街・繁華街・公園・海・飛行場などあらゆるスポットが自転車でまわれるほどコンパクトにまとまっており、移動のストレスは東京に比べると圧倒的に小さい。そして鉄道とバスが街中を網羅しているので、移動が実に楽だ。買い物も遊びも食事も、散歩がてらに行ける環境は素晴らしい。





 

僕の自宅からは徒歩5分くらいで動物園と植物園がある。年間1000円で親子で使えるフリーパスが買えるので、気が向いた時にぶらっと遊びに行くことができる。電車で1時間くらいはかかってしまう東京とは大きな違いだ。


 

僕が今まで滞在した街の中で、苦手な場所は車しか移動手段がない街だった。なんで苦手かといえば、車がない以上に、街が大きすぎて無理が生じている雰囲気を直感的に感じるのだ。

具体的に言えばみんな車で移動してるから、街を歩いている人が少なく(全くいないことも多い)、雰囲気が無味乾燥としていて、人間味が感じられないのだ。そして歩かないゆえ肥満や不健康な人が多いのも現実。特に完全なる車社会で、「この街は最悪だ」と感じたのは、15年前に訪れたアメリカのデトロイトだった。その後デトロイトが破綻したのは、これからの街を考える上で象徴的な出来事だったと思う。

そういった街の雰囲気や活気、人々の健康を考えれば、20世紀型の車社会、そして買い物は大型ショッピングモールのような街は、「ヒューマンスケール」というものに合っていないのではないかと思わざるを得ない。車は遠い場所に行くのには便利だ。しかしどこに行くのも車という生活が、人を幸せにするとは思えない。

逆に考えれば、都市と自然がバランスよくコンパクトにまとまっている街は理想的であり、公共交通も充実していて、「車なしで暮らせる街」、または「歩いて楽しめる街」こそ自分にとって良い街だと言えるであろう。

 

■空港が激近い

あと福岡で特筆すべき点は、街から空港がとても近いことだ。天神からは数駅、博多からだとなんと2駅で空港だ。夫婦そろって移動が多い我が家にとって、これはとても有り難いし、これからのグローバルな移動社会には大きな強みとなるだろう。それに対して成田空港の遠さは絶望的である。今後はできる限り首都圏の主要空港は羽田に一本化したほうがいい。

 

つづく