絶望手帖で絶望のすすめ

縁あって来月出版される絶望手帖という本に、ネタを提供させていただきました。古今東西の絶望的なフレーズが集められた面白い本です。

完成した本を一足先に送ってもらったのですが、よくここまで絶望を表現できるものだなと、読みながら感心した次第です。ここまでお手軽に絶望を感じ、遠慮なく絶望を表現できる社会は、翻ってみれば希望があり、自由な社会だということなのでしょう。なぜなら絶望できるほど希望があり、死にたくなるほど生きられるからです。

世界には、銃弾が飛び交い、いつミサイルが落ちてくるかわからない場所で生きざるを得ない人々がいます。そのような死と隣り合わせの生活で、彼らは「死にたくなる」ことはできないでしょう。家を破壊され、肉親が殺されても、彼らは「絶望する」こともできません。なぜなら彼らはそれでも、生きていかなければならないからです。

そんな悲惨な報道に接するたびに、「絶望できる」「死にたくなれる」贅沢な社会に生きていることを幸せに思います。この本は絶望しても、死にたくなっても、それ自体は大した問題ではないことを教えてくれます。なぜならみんなだいたい「同じようなこと」で悩み、葛藤していることが読めばわかるからです。それは歴史的な偉人から現代のブロガーまで、表現方法は違いえどだいたい同じです。

なので、絶望的なことばかり書かれているけれども、全部読めば、絶望なんて「この程度か」と逆に安心できるのではないでしょうか。絶望というダークサイドの普遍的な姿を把握できれば、ヘタなポジティブ論に浸るよるも、ポジティブになれるのではないかと思いますね。

絶望手帖

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