約15年ぶりのグランドゼロ

ブログには何度か書いてますが、僕は9.11の同時多発テロをアメリカで経験していまして、毎年この日を迎えると、あの日の混乱をよく思い出します。

とはいえ、アメリカを離れてもう10年以上たちますので、当時「グランドゼロ」と呼ばれていたツインタワー崩落の現場が、今どうなっているのか、よく知りませんでした。

それで去年の春、出展したアートフェアのため久々にNYを訪れた時に、ふと思い立って、グランドゼロに行ってみたんですね。

僕が初めてNYを訪れた時は、瓦礫は撤去されたとはいえ、まだ現場は当時の傷跡が生々しく残り、周囲を囲むおびただしい数の星条旗とともに、錆び付いた鉄骨で大きな十字架が作られていたのが印象的でした。

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あれから15年近くたった「グランドゼロ」はどうなっているのか想像しながら、地下鉄でローワーマンハッタンへ。

あの現場には、周知の通り、今は「ワン・ワールドトレードセンター」という新しいビルが建っています。高さは他のビルよりも突出しており、NYの近くに来るとすぐに目に付きます。周りはだいぶ整備され、きれいな公園のようになっており、当たり前ですが、15年前のグランドゼロの面影はもうありません。

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ただ周りの施設や建物は依然工事中で、まだ未完成といった感じですね。

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僕が今回見てみたかったのは、あの事件に対して、「どのように気を使っているか」でした。歴史に残る大惨事ですし、見つからなかった犠牲者も地面の下で眠っているわけですから、それにどのように気を使うかは、ビルを建てる以上に重要なはずです。

そもそもあそこまで犠牲者を出した現場に、そのまま高層ビルを建てるのはアメリカ人的にはどう思うのかな、なんて考えながら現場に向かったわけですが、着いてみてビックリ。新しいトレードセンターはツインタワーとは別の場所に建てられており、二つのビルがあった場所は、丸ごと巨大な滝のオブジェのようになっていました。その滝を囲う石には犠牲者の名前が書かれており、そのまま石碑のようになっているんですね。

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今のグランドゼロに対する予備知識ゼロで行ったので、とても感動しました。あの事件に対して、NYはこのように答えを出したのだなと、地下へと落ちる壮大な滝を見ながら思った次第です。

水の流れというのは、いろんなことを想起させるものです。僕もあの日のことを思い出しながら、その後続いていく世界情勢の15年近い月日と、あの同時多発テロの意味を捉え直すことができました。

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このエリアの工事が終わった頃に、また訪れたいですね。てかもう終わってるのかな。

 

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