今日は負けるのにいい日だ ベルギー戦を終えて

ベルギーの最後のカウンターが始まった瞬間、「あ〜これで終わりだな。日本はよく頑張った」と直感的に悟ったので、ボールがゴールに入った瞬間を、必然かのごとく平常心で眺められた。

おとといのロシアワールドカップの日本対ベルギーの話だ。

今まで長くサッカーを見てきたけれども、日本の敗戦をこれだけ素直に受け入れられたのは初めてだった。僕も年をとったからだろうか、いつもなら感情的になる日本代表戦も、どこかメタ的に眺められるようになった感がある。

ワールドカップに限らず、スポーツ大会というお祭りで、最後まで残っていられるのはたったの1チーム。その他のチームは必ず負けて祭りを去るのである。いってみれば1チームの例外を除く、全てのチームが負けに行くのだ。スポーツ大会とはなんと切ないお祭りだろう。

ならば「どのように負けるか(終わるか)」が、勝敗以上に重要なのではないだろうか。今まで経てきたプロセスが、すべてこの負け方によって決まってしまうといっても過言ではない。

その意味で、今回の日本の敗戦は、良い終わり方だったように思う。正直ホッとしたし、清々しさすら感じだ。

ネイティブアメリカンの言葉で、「今日は死ぬのにいい日だ」という有名な一節がある。

「今日なら悔いなく死ねるほど、幸せでいい日だ」という逆説的な言葉だが、日本の負けが決まった瞬間、僕は同じような感覚だった。

ネイティブアメリカン風にまとめれば下記のようになるだろう。

今日は負けるのにいい日だ。
選手は力を出しきり、優勝候補と互角以上の戦いをした。
見るものに感銘を与え、満足させた。
これで大会前の騒動や、物議を呼んだパス回し、出場国最弱という評価を変えることができただろう。
今日は負けるのにいい日だ。

日本代表は胸を張って帰ってきてほしい。いいワールドカップだった。よかった。

 

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